a.k.a. Sakaki

旅行記と整備手帳と日々の声

文学

『わたしを離さないで』

昨年度末に読むはずが 今さら“Never Let Me Go”を読了しました。「面白い本だった」と感想を綴ると、本当に読んでいるのか疑われそうなのですが、手法が‘Unreliable narrator’である以上、私からは「良い本だった」としか発信することができないような気がし…

Royal Jelly

物語のあらすじは様々なブログで散見されるが、肝心の Dahl の主題については探した限り何も言及がない。備忘録代わりにここに記す。 この短編はギリシャ神話の1節を元にしているように思える。ゼウスが、コルシカ島でAmalthea (=goatの意)、Melissa(=hone…

Parson's Pleasure

‘persona’ は、様々な文脈で用いられる語である。一般的には、心理学者ユングが提唱した「表面的人格」の意味で使われる傾向にあるだろう。源流をたどれば、この単語がラテン語の意味における「演劇の役割」や「仮面」を出発点に、少なくとも約800年以上前に…

チェイホフの猫

アントン・チェイホフの作品中には,頻繁に猫が登場する。その物語のうち,日本語にも翻訳されている『臆病なのは誰のせい』という短編の1節をこれから紹介したい。 飼っている子猫にネズミを捕ることを教え込もうとしたおじさんは,猫のいる部屋に一匹のネ…

The Way Up to Heaven

小説は、過不足なく読まなければならない。読みが不足するのは言うまでもないのだが、書いてあること以上の内容を読者の想像で勝手に補ってはならない。正確に読むということは、その小説の作者と同等(あるいはそれ以上)の力を有している必要があるのかも…