a.k.a. Sakaki

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Royal Jelly

 物語のあらすじは様々なブログで散見されるが、肝心の Dahl の主題については探した限り何も言及がない。備忘録代わりにここに記す。

 この短編はギリシャ神話の1節を元にしているように思える。ゼウスが、コルシカ島でAmalthea (=goatの意)、Melissa(=honey, quenn bee の意)姉妹にヤギの乳と蜂蜜で育てられたという神話である。ミツバチあるいは蜂蜜は、ギリシア神話にしばしば登場する象徴的存在で、ほかにも例えば、黄金のミツバチの巣は Aphrodite(= foam)のシンボルであり、さらには、神々の飲み物であるnectar は、Aphrodite の menstral blood に honey を加えて作るとされている。

 誰もの心に巣くう狂気が、日常の何気ない出来事をきっかけに思いがけぬ展開に至る過程に、royal jelly を取り巻く神話的信仰のベールを重ねている、という解釈である。

 そのように考えると、これまでのダールの話が奇想天外な結末にもかかわらず、常に現実的な可能性の中に置かれていたのに対し、Royal Jelly の非現実性が説明できそうな気もする。*1

*1:[出典] “Kiss Kiss”