a.k.a. Sakaki

人生は死ぬまでの暇つぶし

乙女の港

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 昨年,職場の同期と読書の趣味で投合し,色々と本を紹介したりされたりという関係が現在でも続いています。当時,自身は綿矢りさが好きな作家であることを告げ,そのとき最新刊だった『生のみ生のままで』を紹介すると,なんと百合の趣味でも投合することとなってしまいました。

 そして先月,職場の同期と改めて「百合」の話題になった時,川端康成の『乙女の港』を薦められました。その翌日に本を持ってきていただけたのですが,本日になって読み終えることとなりました。本を読む暇さえも許されない状況だったので仕方ない。それに久しぶりに(人文)科学以外の書籍(文芸)に触れる気がします。以下、感想文。

 創作にありがちな女の子同士の恋愛というよりも,拗らせた思春期女子にありがちな疑似恋愛的関係を描いたものでした。それも三角関係。この世界は男性には決して理解できないはずの社会ですが,男性である川端康成が書くのですから,そりゃノーベル賞も取りますよね…という気持ちです。葛藤だらけでドロドロした思春期女子の世界のはずですが,しつこさのない,純度の高い百合。 読後感としては,月並みながら「美しい」というひと言に集約されるように思います。

 「港」というのは入口でもあり出口でもあります。そういった喜怒哀楽の感情の起伏や様々な経験(出会いや別れや親交)を踏みながら,少女から自律した淑女へと成長を遂げる物語という意味合いが込められたタイトルなのでしょう。

 さて,現在は『枕草子』も薦められているところです。これも少納言と定子の百合物語。言い換えれば日本最古の百合小説。個人的に好きなのは「言はで思ふぞ」と,その手紙に添えられた「山吹の花(=クチナシ)」のエピソード。これは腰を据えないと読めないですが,マンガ版が出ているのだとか。それなら話の筋を追うくらいはできそうですね。

 古典文学はきちんと読むと面白いものが多いように思います。『源氏物語』は皆も「マザコン」や「ロリコン」という言葉を耳にしたことがあると思いますが,『蜻蛉日記』なんかも「浮気癖の夫に悩むメンヘラ妻の物語」と処理してしまえば面白く読めそうですよね。「あいつ許せない…でも好き…」みたいな。

 読んだ本については気の利いたことが書けるわけでもないのであまり記事にしていませんが,こうやってたまには肩の力を抜いて適当に何か思ったことを書くのも悪くないですね。

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 読書の話ついでですが,千夜一夜物語(ガラン版)の全巻セットを購入しました。ハードカバータイプで新訳版が出ていたので6巻すべて出揃ってから手にしようと考え,それがつい先日になってしまったような形です。岩波文庫から出ているものは少し読みにくさを抱いたのですが,今回の新訳版は(まだページをめくっただけですが)読みやすく,親しみやすいように思います。本棚に並んでいる様子も綺麗。

 ちなみに写真右手に見える塩野七生のシリーズ「ローマ人の物語」もパクス・ロマーナ(=カエサル死後の帝政ローマの時代)で止まってしまっています。1冊ずつ読み終わるごとに買っていましたが,この際,もう一気に残りを買ってしまっても良いかもしれませんね。

 バイクもそうですが,こういう好きなことだけに時間を費やそうと思うと,人生というのはいくら時間があっても足りないものです。働いている間は今にでも終わって欲しいと思うのに。ああ。